信長ラン桶狭間 名古屋の観光宝物を活かす戦国時代の歴史ロマン

投稿日:2012年8月21日 更新日:




名古屋の宝物を活かすことができず、観光客を東京から大阪・京都へと素通りさせてしまう。

観光客の誘致という私の仕事は行き詰っていた。

愛知万博の頃は良い仕事ができた。

国内外から名古屋が注目されて、観光客需要で愛知県内のホテルが完全満室になり、嬉しい悲鳴を上げたのも一昔前のこと。

今の私には何かが足りない。

夢は大きく天下獲りと言いたいところなのに、やることは中途半端。

今日は戦国時代のコスプレで名古屋城を歩くイベントを開催したところ。

まずまずの参加者数を集めても、所詮は歴史マニアたちの局地的なイベントだし、名古屋城を偶然訪れていた外国人たちが喜んでくれるだけ。

このイベントを目指して名古屋を訪れてくれた人たちではない。

私が本当に仕掛けたい名古屋ならではイベントはもっと大きな世界観のはずだ。

名古屋城のお堀に咲く桜は、そんな私を嘲笑うかのように美しい。も

う何百年も人々を魅了し続けているお堀と桜の絵の前では、中身の薄さを露呈され、無様をさらす私の仕事。

週末は名古屋城沿いを何周もランニングするのが私のお気に入り。

いつでも天守閣を目の前にしながら走っていられる名古屋一番のランニングコース。

今日はふと、気まぐれになっても良いと思った。

熱田神宮を示す道路標識に釣られて、いつもと違う道を走り出す私。何かの刺激に出会えるかもしれないと思って。

街中のアスファルトの道に色も味もなく、目印の名古屋城がない分だけ気分も盛り上がらない。

それでも熱田神宮に入って森と土の匂いを嗅ぐと新鮮な気持ちにはなった。

惰性で本宮へお参りし、仕事の戦勝を願っていると、あるイメージが膨らんできた。

熱田神宮で戦勝祈願とは、まるで桶狭間に出陣する直前の織田信長だな。

今日は名古屋城からランニングしてきたから、信長が清州城から馬で駆けてきたのとも重なる。

戦国時代の歴史ロマンに包まれて、このまま桶狭間まで走ってみようと思った。

織田信長という名古屋の偉人のおさがりを貰えば、今の私も少しは這いあがれるかもしれない。

「ワシは武士の働きを、家長制度ではなく、機能だと割り切ることで成功した。お前は何だ?お前らしい世界を語ってみよ」
熱田神宮から走り出すと、織田信長のそんな声が聞こえてくるような気がした。

桶狭間への距離をスマートフォンでチェックすると、名古屋城から熱田神宮を経由して、東海道沿いに走るとちょうどハーフマラソンの距離。

今川義元の本陣が桶狭間で休憩を取るという情報があったから、織田信長は迷わず桶狭間に突撃できた。

その情報提供者・簗田政綱は、後日織田信長から一番の褒美を与えられている。

現代の情報戦はスマートフォンで、織田信長の進行ルートを確認しながら。

名古屋の人、いや、日本人なら誰もの心の中に、織田信長が今川義元を破った桶狭間の逆転勝利は息づいている。
鳴海城から桶狭間への道に、その頃のような山野があるわけではなく、突然の大雨に恵まれることもないけど、

いよいよ桶狭間という地名を頻繁に見かけるようになると、心が滾り、まるで自分が織田信長になったような高揚感に包まれた。

この場所こそ織田信長の一世一代の大勝負。

その面影を追って桶狭間を駆ける私は、戦国時代の歴史ロマンに疲れも我も忘れている。

きっと自信に満ち溢れているように振舞いつつも、今川義元を討つまでは不安だらけだっただろう織田信長の心中が見えてくるようだ。
ランニングに重ねる歴史ロマンは蜜の味と知った。

他にはない名古屋独特の楽しみとは、ひょっとするとこういうものではないか。

小さな私は、もっと派手な仕掛けやハコモノがないと売れないと思い続けてきたけど。

桶狭間のゴールまではあと少し。

大軍を分散させる王道で攻めてきた今川義元へ、一点集中の奇道で攻めかかる織田信長が通用するか。

走るスピードを上げて、その先の夢を見てみたくなる。

万人が共感できる色褪せない夢、織田信長の歴史ロマン。

あぁ、それこそ名古屋ならではの宝物ではないか。

先人たちが残してくれた財産をつなげば、過大な費用も時間もかけずに、今の名古屋を盛り上げる方法があるではないか。

名古屋城~熱田神宮~桶狭間を走る名古屋信長ハーフマラソン。

誰もが織田信長気取りかと思えば、あるランナーは草履取りの木下藤吉郎のように、

禁身の身でありながら信長を慕って出陣した前田利家のように、信長軍の一番槍を務めた柴田勝家のように、思い思いの歴史ロマンを抱えて走る。

名古屋城では姫たちがランナーたちを見送り、熱田神宮では織田信長が敦盛を舞いながら迎え、

桶狭間では沿道を埋める人たちが織田・今川軍に分かれて戦っている中をランナーたちは走る。

名古屋が日本中で最も輝いていたあの頃をもう一度。

観光客が名古屋を素通りせず、独自の魅力にひかれて立ち寄る。

いいや、名古屋が一番の目的地として沢山の人々が旅行に出ている様を想像しながら、私は桶狭間を走っている。

戦国時代の財産を活かし、大勢の人々が楽しみながら参加できる歴史イベントを。

織田信長が天下布武の口火を切った桶狭間の戦いになら、それを受け止められる度量がある。

私の中では大逆転勝利の兆しが見えたと確信してきた。

次時代の新しいものばかりを追うのではなく、古いものに新しいものを融合させ、

どこか泥臭く、なにか地道に、しかし歴史ロマンに溢れたイベントこそ、名古屋らしい。

桶狭間公園が今日のゴール。

いよいよ今川義元本陣の幟が今の私の目には見えてくる。

さぁ、これからが私の本当の勝負。名古屋信長ランニングというイメージを得て、夢を叶える武器は揃った。
あとはそこに実があるかどうか。本当に敵軍の総大将・今川義元の首級を挙げられるかは今からの私の槍働き次第だ。

名古屋の宝物は私の手中にある。

歴史ロマンに溢れた名古屋を、名古屋信長ランニングで。
 

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